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【吉田由美 ✕ 藤井聡子 対談(前編)】グローリーがキッザニア出展を決めたワケとは?エデュテインメントの可能性と未来を担うこども達へ

開業10周年を迎えたキッザニア甲子園は、2019年11月、既存の「警察署」パビリオンを一新。新たにオフィシャルスポンサーに迎えたグローリーとタッグを組み、「顔認証技術」や「画像解析技術」を用いた、最先端の科学捜査の体験ができるようになりました。

こちらの記事では、カーライフエッセイストとして様々なメディアで活躍する、吉田由美氏をインタビュアーに迎え、グローリーがどのような経緯でオフィシャルスポンサーとして「警察署」パビリオンを出展することになったのか、出展までの道のりについて、当プロジェクトの統括担当 藤井聡子氏に話を伺いました。

出展のきっかけは偶然の会話から。10周年を迎えたキッザニア甲子園のニーズに、グローリーの技術的シーズがマッチした

吉田
そもそも、なぜグローリーが「キッザニア甲子園」に出展することになったのでしょうか?

藤井
2018年の夏、たまたまキッザニアの担当者とお話しする機会があり、「最近は、BtoB企業の出展も増えているんです」という会話を交わしました。ちょうど同じ頃、グローリーも創業100周年を迎え、ブランディングや知名度を上げるために何をすべきか?を、考えている時でもありました。それぞれの企業の状況や事情に関する世間ばなしがきっかけとなり、警察署のパビリオンを出展する運びとなりました。

吉田
こういうものはタイミングとご縁ですよね!

藤井
グローリーは、紙幣や硬貨を数える通貨処理機を製造販売している会社で、通貨の「真贋(しんがん)」を見分ける高い認識・識別技術を持っています。2000年前後 から通貨の識別で培った技術を、画像識別や生体認証など幅広い分野に応用する研究を開始しました。これらの技術は、現在私たちの生活の安心や安全を守る技術として広く使われています。

「キッザニア甲子園」への出展を通して、一般の方だけでなく弊社社員やその家族にも、グローリーという企業の事業内容を理解していただけるのではないかと考え、思い切って出展を決めました。キッザニアには顔認証技術を体験できるパビリオンが無かったので、それも良かったです。

吉田
顔認証技術は今まさに旬な技術ですよね。一例ですが、先般開催された「東京モーターショー」では、顔認証技術を用いた入国審査の疑似体験などが先進技術として紹介されていました。


▲カーライフエッセイスト 吉田由美 氏

「キッザニア甲子園」への出展決定からローンチまで……。こども目線に徹した企画立案は、新しい発見と気づきの連続

吉田
「警察署」パビリオンでの体験内容は、どうやって考えたのですか?

藤井
こどもは忖度をしませんから、面白くないものは面白くないとはっきり言います。ですからストーリー(体験内容)は熟考を重ねました。

体験するこども達に年齢が近いほうが、気持ちがより分かるのではないかと考え、社内の若手2名にコンテンツ制作 を担当してもらいました。もちろん、今までもこども達の視点で様々な企画を行ってきたキッザニアさんからもアイデアやアドバイスをいただき、一緒に考えました。その結果、非常にリアリティがあり、かつ盛り上がる体験内容を作り上げることが出来たと思います。

現在、グローリーでは様々な製品やサービスにおいて、よりエンドユーザー視点を意識したビジネスプランニングに努めています。これまでは優れた技術やハードを作れば、自然に市場が認めてくれると思っていました。しかしこれからは、実際にお使いになる方の価値観や期待値に応じた商品企画が重要になってくると思っています。キッザニアの方々が、実際体験するこどもの立場に立った、つまりエンドユーザー視点の企画づくりに注力しておられているので、今回の経験はその点でも有意義でした。

吉田
実際にこども達にヒアリングなどは行いましたか?

藤井
キッザニアには「こども議会」というものがあります。彼らは対象年齢層のこども達の代表として、キッザニアをより良く楽しくするための活動を行っています。この体験内容も、こども議会の検証を経て、稼働させました。

吉田
えーーーっ!まるで大人の世界と同じですね!

藤井
はい。ですから大人の勝手な「こどもってこういうのが好きでしょ?」という決めつけは却下されることもあります。今回は、こども議会の方々にも「これはおもしろい」と言っていただけたので、その点は大変良かったと思います。

こども議会で体験の流れ を説明する際、私たちが普通に使っている言葉でも「この言葉はどういう意味?」と質問されること多々ありました。自分たちの常識が他の誰かの常識であるとは限らないということに改めて気づかされた瞬間でした。


▲グローリー株式会社 執行役員 国内事業本部 藤井聡子氏

こども達が、何度でも楽しく体験できるように。体験内容の設計はチームが最も重要視したポイントだった

吉田
最も大変だったのはどこですか?

藤井
まずはコンテンツの制作です。あまり簡素化しすぎて、面白みのない仕上がりになってもいけませんし、時間に制約があるため、盛り込みすぎて難しくなってもよくありません。また、こども達が次に来た時に楽しめることも大切です。こどもと言っても年齢が3歳~15歳までと幅広いので、みんなに楽しんでもらえる内容にする必要があります。そのため、体験内容だけでなく、ビジュアルなどの細部にも様々な配慮をしました。

吉田
他に留意された点はありましたか?

藤井
体験内容を面白くするという一方で、体験を安定して稼働させることも大事です。運用を簡単にすることと体験内容の充実を、同時に実現させるという点には配慮しました。そしてもう一点は、体験の中で取り扱う個人情報に関してです。顔認証をするためや、顔写真付きの警察手帳を発行するためにお子さんの写真撮影を行います。それらの写真は、その日のうちにきちんと消去し情報管理を徹底するよう設計しました。

キッザニアの街の平和は僕らが守る!顔認証技術を使った捜査体験

吉田
これは、お子さんはもちろんですが、保護者も盛り上がりそうですね。

藤井
2019年11月27日の夕方にオープンしましたが、この日はグローリーの「警察署」パビリオンが一番早く予約が埋まってしまったそうです。もともと「警察署」は以前から人気のあるパビリオンで、リニューアルのために一時クローズしていたことも影響したと思いますが、新しい「警察署」がどのように変わったか、楽しみに待っていてくれていた方が多数いらしたようです。

吉田
警察官のユニフォームも可愛いですね。私もこどもだったら着てみたいです!

藤井
エンブレムにはグローリーの創業年である「1918」を入れました 。ブルーはグローリーのコーポレートカラーですが、キッザニアの街中でも映えるように、明るめのブルーを選びました。今まではブレザーだけでしたが、Yシャツとネクタイも着用できるようにし、本物感を出しました。また、新しく女性用の帽子を用意し、男児・女児の衣装に変化を持たせました。

体験の中で使用する顔写真入りの警察手帳は持ち帰ることができます。これは自宅に帰ってご家族に見せたり、友達とのコミュニケーションツールになればいいなと思います。

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グローリー株式会社執行役員国内事業本部 藤井聡子

IT企業での30年余りの経験を持って2017年グローリー入社。通貨処理で培った信頼と技術にICTやパートナーとの共創を加えて、新しい分野での事業展開を図るとともに、「新しいグローリー」のイメージを伝えるべく活動中。

キッザニア甲子園 施設情報

住所:兵庫県西宮市甲子園八番町1-100 ららぽーと甲子園(GoogleMap

営業時間・料金および予約・アクセス方法は、キッザニア甲子園Webサイトをご確認ください

Web Site:https://www.kidzania.jp/koshien/

キッザニア甲子園内 「警察署」パビリオン 施設情報(2019年11月27日OPEN)

職業名:警察官

定員:8名 / 1回

所要時間:約30分

給料:8キッゾ

おすすめ年齢:3~15才

スポンサー:グローリー株式会社(https://www.glory.co.jp/

取材・文:カーライフエッセイスト 吉田由美(Yumi Yoshida)[ WEB ][ twitter ][ Facebook ]
写真:山下みどり(Midori Yamashita)